私が日本にいた頃にはなかった、「スルーする」という表現、数年前どこかで読んで驚いた印象が強く残っています。前後関係から「無視して下さい」という意味だとわかりましたが、英語のthroughとはぜんぜん違う意味なので、最初はしっくりきませんでした。
日本語の「スルーする」と同じ意味だと思って使ってしまわないように、ここでは、「スルーする」は英語では何というか、そして英語のthroughの意味や使い方、そして例文をご紹介します。
「スルーする」を英語で言うと・・・
throughは「通り抜ける」などと訳されるため、素通りする感じがあって日本語の「スルーする」になったのだと思いますが、「通り抜ける」には、中に入る必要があるので、全然素通りしていません。
何かについて、重要ではないなどの理由で「スルーしておいて」、「スルーして下さい」という場合:
(Just) ignore it.
Don’t worry about it.
となります。
「(私だったら)スルーする」というニュアンスで
I would ignore that.
I wouldn’t worry about that.
などとも言えます。
無視するのは、it や that だけではなくme, her, him, themなども使えます。
また、少し重い/硬い/フォーマルな感じを出したい場合はdisregardという単語もあります。
例:
Diane completely disregarded my advice.
英語のthroughの意味・使い方
ドライブスルー(drive-through)(英語なので正しい使い方です)は、そのお店の敷地内に入って中をとおりますよね。日本語の「スルーする」の意味で「無視」すると、そのお店を素通りすることになり、何も買えなくなってしまいます。
このように、throughは中を通っている感じの単語で、throughできるものは、場所・エリア、建物、物(ドアなど)、人混みなどかき分けられる物などなど、さまざまです。
ほとんどの場合「入る・その中を通る・出る」という動きがあります。ただ、throughは動詞ではないので(前置詞・副詞・形容詞だったりします)、どのような動きで通り抜けるかの動詞が必要です。
例:
walk through 歩いて通り抜ける
come through 何かを通り抜けてこっちに来る
以下に、具体的な意味と例文を5種類ご紹介します:
1. 物や建物を通り抜ける
通り抜ける物の厚さが薄いもの(ドアなど)や長さがとても短い場合もあります。
例:
This straw is no good. The drink doesn’t come through it.
The thieves seemed to have got in through the window.
The train went through a long tunnel before reaching our station.
何かを壊したりして通り抜ける場合もあります。
例:
A ball went crashing through the greenhouse.
2. 場所・エリアに入り、中を通って出る
その場所を通って別の所に行くときに使う場合が多い。
例:
Lauren passed through London on her way to Windsor.
A train went through the station without stopping.
We took a shortcut through the park.
3. かき分けて通り抜ける
人や障害物などで通りにくい所をかき分けて行く感じ。
例:
I pushed my way through the crowd to get to the exit.
We found a gap in the hedge and squeezed through it.
We zig-zagged through the traffic.
4. ある時間や期間の間ずっと
「その時間や時期に入る・その中を通る・出る(終わる)」考えると、これも「通り抜ける」というイメージにつながります。
例:
Justin went through a tough time last year.
The mild weather continued through the winter.
I slept through the flight to Japan.
5. 終える・終わる
中を全部通り抜けて外に出るということは、今までいた状況から脱出する(=終わる)という感じがし、finishに近い意味でも使われます。
例:
I had enough! I’m through with Sam. (お付き合いをやめる)
I’m through with all your nonsense.
最後の文章は、相手のばかげた話や行動に付き合うのをやめる、「もう付き合っていけません」のように言いたいときに使えます。
例文を見ると、色々なものをthroughできるだけではなく、どんな動き(動詞)でthroughするかも様々だとおわかりいただけると思います。
今後、throughという単語に出くわしたら、通り抜けている様子を想像して意味を感じてみて下さい。
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